九品寺の信仰/歴史
各厳山 九品寺縁起
開基は定かではないが、備後之国木門田村の守護寺として竜泉寺谷に建立され村民の信仰はとみに厚かった。明暦二年、おりからの大雨により寺社流亡し、本尊聖観世音菩薩は木門田川を流れ去った。翌日、家政地区に流れつき、村の復興を願い、現在地に草堂をむすび、安置した。それより広く勧進し、寺の再建につとめ、元禄元年に再建し、霊験あらたかな仏として近郷の信仰をあつめた。近くの木門田天満宮は九品寺の外社として勧進したもので、宝暦七年、天満宮再建の塔婆が今に寺に残っている。導師は時の住職宥義阿闍梨である。本尊聖観世音菩薩は、秘仏で三十三年に一度開扉される。近年、国道バイパス、高速道路の開通により周辺環境は変化したが、谷深くに本堂・庫裡・鐘楼堂・大師堂からなる簡素なたたずまいは昔ながらの山寺の面影を色濃く残している。