◆不動明王像
(国指定重要文化財)
高さ98.7cm、檜材、寄木造の立像で、鎌倉時代初期の作。毘沙門天像とともに観音菩薩像の脇侍である。
頭髪は巻髪で、頭上は花形に結った莎髻になっている。眼は彫眼、右眼を見開き、左眼を半開きにした天地眼で、唇をかみ、上下の牙を交互に現している。左手を下げて羂索を握り、右手は剣を持ち、忿怒像ながら静かな形相の中に力を込めた表現といえる。
|
◆木造観音菩薩像 (国指定重要文化財)
檜材の寄木造、漆黒の高さ99.3cmの坐像。正覚院の本尊仏で33年目ごとに開扉する秘仏となっている。鎌倉初期の中央作で、かなり優れた仏師の手になるものとされている。
頭に宝髻と天冠台をいただき、正面に如来立像を植え、髪には細かな髪筋を刻んでいる。卵形に近い顔に両目を明快に刻み、ほほには膨らみがあり、引き締まった唇は細い線で縁どられている。
左手は、蓮の花を持ち、右手をこれに添える形で印を結んでいる。衣紋は深く、極めて鋭く、極めて巧みな刀法で刻まれ、しかも翻波式の名残を見せ、その意匠も心利いたものがあり、優れた観音菩薩坐像である。
|
◆毘沙門天像 (国指定重要文化財)
高さ106.4cm、檜材の寄木造、彫眼の立像で鎌倉時代初期の作。宝髻、天冠台をいただき、地髪はまばら彫りである。目は怒り、
口を閉じ、顔をやや左向きにしている。左手に宝塔を掲げ、右手は振り上げて戟を持ち、右足を少し上げて邪鬼を踏み付けている。
面相は、不動明王像と同じように肉どりに粘りがあり、大ぶりの衣のしわの刀法にも共通の作風が見られ、彫りに共通するところがあるなど、脇侍の2躯は同一作者の製作と認められる。
|