毎年七月の第三日曜日に行われる夏まつりには、全国から信者が集まり、山寺は熱気につつまれますが、なんといっても大釜いっぱいに煮えたぎる熱湯で祈祷を行う湯伏の加持。そして山伏の大護摩供養がクライマックスです。パチパチと音をあげて燃えさかる護摩の炎を囲んで、山伏たちの吹き鳴らすほら貝と打ち振る錫杖の響き、それに読経の声が唱和して一種独特の荘厳な世界が展開されるのです。
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火渡り荒行 |
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おそらく、海の暮らしに糧を求めて大洋へ船をこぎ出した猛者たちも“板子一枚下は地獄”つねに生と死が背中あわせでいる身の危険を仏菩薩に念じ、護摩の炎で邪気を焼き尽くしたことでしょう。
島に残る寺院の柱や梁、はてはお堂の床を支える木組に、船の櫓や櫂、そして難破した船体の一部分が使用されているのを見るにつけても、海に明け暮れた男たちの悲痛とも思える祈りの姿をそこに発見するのです。
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